遡ること5000年。
その時代の"痣つき"ソフィーティアは魔王に挑むも、本人曰く"惨敗"し、彼女が愛した世界は失われてしまった。
ソフィーティアが最期を遂げたのはマズー・死の地下城。
ソフィアがその場所の記憶を持っており、ゾルヴァーダがこの地で生き延びていることを考えると、破壊されたのはあくまで地上であって、大陸や星そのものが「実験室のフラスコ」として砕け散ったわけではないらしい。
オーディンは更地となった地上に、新たな環境を作って人類を育てていることになる。
さて、そうなると多少環境の変化はあっても、アスパイア大陸と天界の位置関係はそう変化していないと考えられる。
天界の座標を特定し、そこへ行く手段が整えば、天界に殴り込みにいけるのである。
ソフィーティアが転生を繰り返しながら知識と力を蓄え続ければ、どこかでそのチャンスは訪れるのかもしれない。
しかし、実際にオーディンに挑んだプレイヤーならば、その条件を整えることが相当な労力を要することを知っている。
箱舟の欠片を各地から集め、ソフィーティア覚醒の触媒であるバ・アルとエルダードラゴン討伐のためには、自分以外にも相当な戦力が必要である。
(ソフィーティア自身の執念、魔王やオーディンの強さからして、決戦準備に妥協をするとは考えにくい。覚醒は規定路線だったはず。天界へ行く方法を「思い出せない」ことも許されない。)
魔王、さらにオーディンに勝つならばなおさら。
そこで、この時代では"痣つき"を中心にオーディンチルドレンが結束して挑む戦略をとることになった。
よって、この時代でオーディンチルドレンがパーティーを組むのはソフィーティアの計画の内、と考えられる。
この作戦に必要なのは、戦闘力と人望を兼ね備えた"痣つき"の存在。
この時代の"痣つき"がオーディンチルドレンを組織化し、自身もそこへ合流。
新旧の"痣つき"を核に、オーディンチルドレンが協力しながら打倒魔王、天界への条件を揃える最強の布陣がソフィーティアの狙いである。
その間のサポートとして、カモラに覚醒の手順とオーディンチルドレン達を教え導くだけの知識を伝授し、自身と同じく過去の記憶を残すゾルヴァーダも戦力として準備した。
しかし、この時代のオリジナル"痣つき"はブライドであった。
彼は実力は十分(疲弊した魔王に奇襲が決まった光景は皆さんご存知の通り)ながら、キャラが暑苦しすぎて統率力に難があった。
そこでソフィーティアはブライドを表舞台から退場させ、切り札として隠しておく策をとる。
その代わりとして痣を人工的に植え付けられたのが、シャナルである。
シャナルの力や性格を見極め、手術?を行った上で、ソフィーティアは最後の転生を行う。
しかし、ここで一つ疑問が。
ブライドの性格を知るには、ブライドが相応の年齢に達している必要がある。
一方オープニングでは、シャナルは生まれつき痣を持っていると言われている。
これだと二人の年齢は不明だが、それなりの年齢差があると考えなければならない。
痣付き交代という戦略の見直しや、痣の植え付けなど、年単位の準備が必要だったのではないだろうか。
シャナルに対しては生後手術を行ったとすれば、性格を見極める時間はなかったはず。
彼(彼女)が真っすぐ育つよう、環境を整えるしかなかったのではないか。
そのため転生は予定より遅れ、決戦には全盛期とは言えない未熟な肉体(年齢的に)で挑むことになる。
(ただし、ソフィアは覚醒しない場合、魔王戦後数年で記憶と魔力に耐えられず死亡する。ある意味で、このタイミングが肉体的限界という意味で”全盛期”と考えたのかもしれない。)
かくして、紆余曲折を経ながらも、一つの時代に3人の"痣つき"がそれぞれの役割を背負い、千載一遇の機会が訪れることになった。
魔王を倒した後、ただ一人オーディンに挑もうとする自分をシャナルが引き止めたのは、予想の内だったのだろうか。